ありがとう基金について

 8年前に、当時小学6年生と2年生の娘たちを引き取りひとり親となりました。それまでもポツリポツリと音楽活動やステージのプロデュースはしていたものの「また歌ってくれるの?」というかつてのファンの方からの言葉でステージへ本格復帰しました。それからというもの、いただいてきた出演料はすべて蓄えていました。

 2012年のステージだったと思います。コンサートで歌を聴いてくださったある県議会議員さんから「いいお仕事ね。歌をうたって“ありがとう”ってお金をもらえるんだもの」と言われました。私は「あなたこそ偉い職業をされているじゃないですか」と言いました。彼女は「私たちは1軒1軒に頭を下げてお願いをしているの。あなたは歌をうたって感動を与えてお金をもらえるんだもの、素晴らしいわ!」と、また言いました。そして私は自分の仕事を「なんて素晴らしい職業だったのだろう」とあらためて“歌うたい”という職業について深く考えたのでした。と同時に「人が“ありがとう”と言ってくださったこの、まごころのお金を保育園の設立資金にしよう!」預かる子どもたちには「あなたたちはたくさんの人たちの“ありがとう”というお金で大きくなったのよ、きっと皆さんのお役に立つおとなになってね」保護者には「たくさんの人のまごころで建てられたこの保育所で私たちと一緒に頑張って子育てをしていきましょう!」と言って世界に誇れる日本の保育を始めよう、と思いこのお金をありがとう基金とすることにしました。8年間の出演料は100万円になっていました。

 

 はじめは保育園設立の夢でしたが、たくさんのご縁をいただく中、赤ちゃんから高齢者まで、そして健常児者も障がい児者も集えるインクルージョン施設「まんまる笑顔のみんなのおうち」として2015年5月3日に栃木県日光市にオープンさせていただくことになりました。これからもスロープや各所整備など、お金がかかります。どうか、多くの皆様に協力者となっていただけますよう、よろしくお願いいたします。

 

               2015年3月19日

 

               まんまる笑顔のみんなのおうち 言い出しっぺ 水野谷房恵